アクセスカウンタ
プロフィール
joukaku
joukaku
レイカディア大学草津校
43期OB。
カテゴリ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 2人
QRコード
QRCODE

2024年06月08日

2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

「里山ボランティア 山ぐり」の定例会に参加し、岡山県「鬼ノ城」を訪問しました。訪問した鬼ノ城は日本100名城(69番)に選定されています。

飛鳥時代に大和朝廷によって国の防衛のために築かれたとされる古代山城(神籠石式山城(こうごいししきやまじろ))ですが、鬼ノ城は、『日本書紀』などの歴史書には一切記されておらず、その歴史は解明されずに謎のままです。築造時期が不明の謎の城でしたが、発掘調査成果として出土した土器類から、7世紀後半に造られた可能性が高くなっています。
660年、唐・新羅の連合軍により百済が滅んだことから、大和朝廷は援軍を朝鮮半島に派遣します。しかし、663年、唐・新羅の連合軍に百済・倭軍は白村江で大敗し、日本へ逃げ帰ります。天智天皇は唐・新羅の連合軍が攻めてくることをおそれ、防衛網の再構築および強化のために対馬~畿内に至る要衝に山城や様々な防御施設が造られますが、鬼ノ城もその一つではないかと考えられます。

     天智天皇(中大兄皇子)
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

また、鬼ノ城には吉備津彦命に退治された百済の王子:温羅(うら)が住んでいたといわれ、温羅伝説の発祥の地でもあります。

現在は史跡調査に基づいて整備、復元がなされ、角楼(かくろう)跡や城門跡を訪れることができます。本日は滋賀から岡山までの片道約250kmの日帰りでしたので、鬼ノ城全てを見学することができず、西門~南門~東門の城の半分を巡り、歩行歩数は約7,500歩でした。地図に巡ったコースを矢印で示します。図はクリックにより拡大します。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

列石: 鬼ノ城では1971年に写真のような列石や、後に示す水門が発見され、その7年後の調査で、鬼ノ城の大きさや城壁の様子などが明らかになりました。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

城は鬼城山の八~九合目を取り囲むようにして築かれた鉢巻き状の城壁で囲まれ、全周は2.8kmにもなります(上記地図の白い線内)。東西南北4箇所の城門と、6箇所の水門が存在し、城内の中央付近に礎石建物が7棟確認されています。

角楼(かくろう)跡(復元されたもの): 鬼城山ビジターセンターから登って、最初に訪れる施設です。鬼ノ城に近づきやすい尾根を警戒して、死角を補い防御力を高めることを目的として築かれています。角楼への昇降のための石段も設けられていますが、この上に建物などがあったのかどうかは不明です。日本の古代山城では、初めて確認された特殊な施設です。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

西門(表側)遠景: 西門跡は極めて良好な状態で残されていました。12本の柱の位置や太さ、埋め込まれた深さ、各柱間の寸法も正確に知ることができ、通路床面の石敷や石段、敷石もよく残っていたので、城門の規模と構造を具体的に知ることができました。これらの情報に基づき、柱材はカナダ産ヒバ、板壁にチベットヒノキを用いて、現在は三階建ての城門に復元しています。一階-通路、二階‐城壁上の連絡路、三階-見張りの機能を持つもので、瓦が出土していないことから、板葺きとされています。古代山城の復元例としては、日本初です。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

西門内側
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

敷石(内側): 写真手前に見えるように、城壁に付随して城外側と内側の両方におびただしい数の石が敷き詰められています。城外側の敷石は幅1.5mで敷き詰められていますが、内側の敷石幅は広く幅が5mに及ぶ所もあります。
当初は敷石の役割は通路と推測されていましたが、現在は雨水により城壁が洗われて崩壊しないよう保護するための施設と考えられています。鬼ノ城の敷石は城壁のかなりの部分に敷き並べられていたことがわかりました。このような例は、国内の古代山城や朝鮮半島の同時期の山城にも類例が見られないとのことです。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

西門門内(内側より)
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

西門表側: 西門や角楼をはじめ城壁の随所に、敵からの矢などを防ぐため盾(写真上方のカラフルな板)が置かれたものと考えられます。鬼ノ城と時期の近いものに隼人の盾があります。盾の形は参考にしていますが、盾に描かれた文様は岡山市金蔵山古墳(5世紀)の盾形埴輪に隼人の盾に似た逆S字状モチーフがあることから、それをアレンジしています。鬼面は藤ノ木古墳の鞍金具に描かれた鬼面、綾杉文や周囲を取り巻く鋸歯文は古墳時代の吉備の盾形埴輪などによく見られる文様です。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

城外側の敷石と版築土塁: 雨水の浸食から城壁を保護するために、城壁の内外は、雨水が城壁側にながれないよう傾斜をつけて石を敷き詰めています。
また、城壁は直線を基本として、基礎に列石を据え、壁となる位置に型枠を作って、内部に土を入れて、一層ごとに突き固める版築工法により築かれています。そのため、盛土は硬く崩れにくい構造になっています。壁面の縞状に見える土層は、一層ごとに土を突き固めた作業の単位を示しています。土塁の壁面は80度近い勾配で、6m近い高さがあることから、敵兵を簡単には寄せ付けません。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

第1・2水門間石塁: 城壁が谷に渡る所では谷を埋めるように石塁がつまれていました。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

第2水門: 城壁が谷に渡る所では、城内から集まる水の処理が必要なことから、排水機能を持つ「水門」が設けられています。
写真は撮影していませんが、第0水門と第1水門は石塁の下部から排水されるのに対し、第2水門~第5水門は写真のように通水溝を備え付けて排水しています。城内には第1水門~第5水門それぞれに通じる谷の途中に貯水池が設けられ、飲料水の確保等の水の管理がなされています。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

南門跡: 一辺55cm前後の巨大な角柱12本で上屋を構成する大型城門であることが分かっています。南門は細部の違いはあるものの、規模や構造が西門と同じで、これらのいずれが正門なのかわかりません。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

南門・第3水門間の高石垣からの眺望
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

岩切観音(五番): これは磨崖仏で目立ちますが、鬼ノ城の遺構ではないようです。手がたくさんあるので千手観音のようです。散策コースの到達点の目印とされています。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

倉庫群跡礎石(礎石建物3): 城の周辺の散策路から外れて、城の中央部に向かうと、礎石建物群の遺跡にたどり着きました。東門側から西門へ向かう行程では、最初に倉庫群跡礎石があります。写真は総柱建物の倉庫のひとつの礎石で、このような建物跡は5棟あり、食料や武器などが収められていたと考えられます。建物のイメージは下図の復元建物の右側です。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

管理棟跡礎石(礎石建物5): さらに進むと、倉庫と建物構造の異なる建物跡が2棟あり、これらは役人が常駐していた管理棟と考えられます。建物のイメージは下図の復元建物の左側です。
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

管理棟建物イメージ               倉庫群建物イメージ
2024年6月5日(水)岡山県鬼ノ城訪問

ここまでで、鬼ノ城散策は時間の関係で残念ながら終了となりました。
なお、鬼ノ城の廃城は、城内出土の遺物から、史書に記載されている畿内の高安城(701)、備後の茨城常城(719)の廃城などとほぼ同時期と考えられています。鬼ノ城は廃城後も倉庫を中心とした備蓄施設としての役割を保っていたようですが、それも8世紀後半には機能を停止しています。

鬼ノ城はこれまでに訪問した城郭とは大きく異なり、非常に古い時代のものであることから、文字史料による城に係る物語の情報はなく、発掘調査結果に基づいた遺構の解釈しかできません。しかし、古代城郭にもかかわらず、当時の最先端の技術を駆使して築かれた壮大な遺構であることを、本日の訪問で実見しました。今回の訪問は日帰り旅行ですので、この後、鬼ノ城を離れ滋賀県までの約250kmの道のりを戻りました。
                                  文責 岡島 敏広


同じカテゴリー(その他)の記事画像
2025年2月17日(月)三上陣屋跡訪問(野洲市)
2025年1月15~16日沖縄県石垣島(石垣市)のグスク・士族屋敷訪問
2025年1月14日(火)沖縄県竹富島(竹富町)の小城盛(クスクムイ)と蔵元
2024年10月25日(金)レイカディア地域文化43期'24秋のバス旅行「尾州犬山城とひつまぶしの旅」(愛知県)
2024年10月9日(水)岐阜県飛騨高山陣屋訪問
2024年10月8日(火)長野県信州松代城訪問
同じカテゴリー(その他)の記事
 2025年2月17日(月)三上陣屋跡訪問(野洲市) (2025-02-24 06:46)
 2025年1月15~16日沖縄県石垣島(石垣市)のグスク・士族屋敷訪問 (2025-01-21 07:15)
 2025年1月14日(火)沖縄県竹富島(竹富町)の小城盛(クスクムイ)と蔵元 (2025-01-20 14:16)
 2024年10月25日(金)レイカディア地域文化43期'24秋のバス旅行「尾州犬山城とひつまぶしの旅」(愛知県) (2024-10-28 15:26)
 2024年10月9日(水)岐阜県飛騨高山陣屋訪問 (2024-10-22 15:17)
 2024年10月8日(火)長野県信州松代城訪問 (2024-10-21 15:16)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。